修了生の声

尾木 将士(ファイナンスプログラム・2022年度修了)

日本生命保険相互会社 国際投資部

 資産運用の世界では数学や物理学、高度なプログラミング技術等が、市場動向や企業業績の分析・予測、投資戦略や金融商品の開発に当たり前に用いられています。私はこれまで主に外国為替、マルチアセットの運用を経験する中で、運用収益の拡大に向けて、機械学習(AI)の活用や定量分析の高度化を進めてきました。しかし、必要となる多岐にわたる知識やスキルを習得するには、独学では限界があり、体系的に学ぶことが難しいと感じたこと、同時に最先端をいくアカデミアや同じ志を持った社外の実務家の考えにも関心が高まり、大学院で学びたいと考え、入学を決意しました。
 ファイナンスプログラム(MF)では、学びたいと思ったことはほとんど全て学べるだけの幅広い科目が設置されており、伝統的なファイナンスから、近年注目を集めている機械学習やESG投資まで体系的に学ぶことができました。各科目を順序立てて学べるようにプログラムが構成されていることで、必要となる基礎知識を着実に習得したうえで、応用を学ぶことができるため、最短ルートで効果的に学ぶことができたと実感しています。また、少人数であるため、学生と教員の距離感も近く、私の理解が乏しい際にも、親身にご指導いただきました。
 一番成長を実感したのは、修士論文の執筆までの一連のプロセスです。先行研究調査やデータ取得も行いやすいなど、研究に没頭し、やればやるだけ成長できる環境が整っています。その中で、関心のある分野について、ひらめきや思いつきをもとに、繰り返し検証を行うわけですが、うまくいかないことのほうが大半でした。その際には、先行研究に立ち戻って、自らのアイデア(独創性)によって壁を打開し、自分なりの哲学を少しずつ構築していく、このプロセスの繰り返しを行いましたが、その積み上げによって身に着けた思考力はかけがえのない財産だと実感しています。この思考力は、仕事にも大きく影響しました。目まぐるしく変化する相場環境の中で投資判断を行ううえで、一時的な動きなのか、本質的に変化を示唆する動きなのか、根拠と自信をもって判断・意見をできるようになったと感じています。
 一方で、最も苦労したのは時間の使い方です。仕事も研究もそれぞれを限界までこなそうとすると、時間が足りません。なので、私はどんな状況でも、仕事も研究も必ず時間を区切って終えることを意識していました。結果として、時間を区切らずに仕上げた場合と比較して、量や質をさほど落とさずに成果を出すことができました。
 最後になりますが、MFの講義・研究では、“理論”にとどまらず“実践”とのバランスを意識したケーススタディを通じて、“すぐに現場で使える”ファイナンスの知識・スキルを習得することができるため、実務家の方に最適なビジネススクールだと思います。仕事をしながら講義や研究をこなすことは想像以上に大変でしたが、志のある人はぜひファイナンスプログラムで学んでほしいと思います。

佐久間 達也(ファイナンスプログラム・2022年度修了)

アセットマネジメントOne株式会社 機関投資家営業本部 総合ソリューション推進グループ勤務

 私は学部卒業後、就職をせず本学のファイナンスプログラム(MF)に入学しました。学部時代は金融工学のゼミナールで金融市場の実証分析について学んでいましたが、ファイナンス理論をより深く学びたいという思いから、体系的な学習プログラムが整っているMFへの入学を決意しました。
 本プログラムを修了して、有意義であったと感じたことは大きく三点あります。
 一点目は理論を学び実務に活かすために授業が効率的に構築されている点です。カリキュラムに従って受講することで、ファイナンスの基礎である確率解析やプログラミングからデリバティブやポートフォリオの理論までを一から体系的に学ぶことができました。また理論の授業でも実務における実例や先生方の体験談を交えてお話頂けるため、理論の活用という点を意識して学ぶことができました。
 二点目は先生方から手厚いご指導を頂ける点です。MFは特任の方を含めると学生の数以上の教授陣が在籍されており、先生方は勉強や研究に関して徹底的にご相談に乗ってくださいます。私自身も研究に必要な数学の勉強についてご相談したところ、半年に渡って勉強会を実施して頂きました。また修士論文執筆の際には三人の先生にゼミへ参加していただき、論文を良いものにするために実務・理論両方の側面からアドバイスをいただきました。これほどに先生方から綿密な指導を受けられる環境はないのではないかと思います。
 三点目は、様々な業界の方々と交流する機会を得られる点です。学部卒生として入学した私は、社会人の方々と切磋琢磨できる環境に身をおくことで、座学だけでは得ることのできない刺激を受けることができました。また同期の方々は金融機関から官庁まで幅広い業界から学びに来られており、交流の中で社会人の先輩として多様な視点から頂けるアドバイスは、私自身の修了後のキャリアを考える上で大きな助けとなりました。
 専門性を深めたいと考える実務家の方々だけでなく、将来的に金融実務家として活躍していきたいと考える学部卒生にとってもMFは最適な環境であると思います。