在学生の声
原 拓也(2023年度入学)
マーケティングリサーチ会社勤務
――入学の動機を教えてください。
学部時代を哲学系の専攻で過ごし、大学院に進学する友人たちを傍目で見ていた時は、自分がその道に進むことは考えたこともありませんでした。しかし、社会人として経験を積むにつれ、実務の中では語りえないことや素通りされてしまうことへの居心地の悪さもまた積もるようになっていきました。キレイゴトを綺麗事だと一笑に付すのではなく、また美辞麗句として弄ぶのでもなく、まじめに考え続けるための方法について考えたい、その術として「研究する力」を養うためにMBA 入学を検討し始めました。加えて私が重視したのは、当事者として研究することです。つまり「企業で働く人」としてのわたしと「研究する人」としてのわたし、そして「生活する人」としてのわたしを分かつのではなく、地続きの存在として考え続けることを重視しました。このような動機から、社会人を主な対象としながら修士論文(もしくは課題研究論文)の作成を修了要件とする都立大MBA を選択しました。
――入学して思うことをお聞かせください。
経済学者ジョン・メイナード・ケインズ(John Maynard Keynes)は『雇用、金利、貨幣の一般理論』の中で「知的な感化などとはまったく無縁だと考えている実務家も、いまは亡き経済学者に束縛されているのがふつうだ」(Keynes 1936=2021: 588)と述べています。まさにこのことを、都立大MBA では実感できます。実務で用いられる“ 言葉” や、言葉にされない暗黙の“ 実践” が、経営学の諸理論によって基礎づけられていることにまず驚かされます。次に少人数教育という当MBA の特色による相乗効果もあって、経営学の諸理論が学生のバックグラウンドに応じて多彩に理解されるさまにハッとさせられます。理論と研究に対して「現実離れしている」というステレオタイプは少なからずあると思います。しかし現実離れしているからこそ各々の現実に応じた解釈と応用が生まれ、そして、それが理論と研究にフィードバックされ相互に発展していくのだと、体感できたことはとても貴重な経験でした。
――これから入学を検討している方へメッセージをお願いします。
経営学は『世界標準の経営理論』(入山 2019)で示されているように、社会学や心理学、経済学、さらには哲学などの学問が交差する学際的な領域です。そのため、必ずしも「会社の経営」に特段の関心がなくても(あるいはキャリアアップへの特別な動機がなくても)、「社会学/心理学/哲学のような経営学」という形で、日頃の関心事をぶつけられる懐の深い学問だと思います。そして都立大MBA に入学し、多様な関心と動機を持った同級生とのディスカッションを通じて、その懐の深さを一層強く感じています。ですから「研究者」を目指すと言うのはためらわれる、一方で「研究する◯◯」(◯◯には会社員、経営者、会計士、デザイナー等が入る)としての自らの資質を見定めてみたいという人にとっても、都立大MBA はうってつけの学修環境だと思います。「働きながら研究すること」あるいは「研究しながら働くこと」の自分なりの型を探求する、エキサイティングな2 年間になるはずです。
木下 大輔(2023年度入学)
製薬会社 部長
――入学の動機を教えてください。
入学の動機は、経営学プログラムを通じて体系的な組織経営理論や戦略的な課題解決力を学び、環境変化に適応した柔軟な組織運営を行うための思考方法を身につけたいと考えたからです。
2020 年初め頃から新型コロナウイルスが本格的に蔓延したことで、私の勤めている会社でも在宅勤務を行う機会が増えていきました。その数年前から管理職としてマネジメント業務を行っていたのですが、対面であれば問題なく解決できていたことが、在宅勤務でのリモート対応では解決が難しいと感じる場面が増えていきました。振り返ってみると、自分自身のマネジメント方法が、社員同士のコミュニケーションに無意識に頼っていたのが要因だったと思います。このことで、組織運営やマネジメントについては社内外研修や独学で学んでいたのですが、十分ではなかったことに気づかされました。そこで、意図的に組織運営を行う力を身に着けるためにビジネススクールに入学し、体系的な組織経営理論や戦略的な課題解決力を学びたいと考えました。
――入学して思うことをお聞かせください。
「学ぶ」ことの楽しさを実感しています。
入学のきっかけが自分自身の課題解決であるため、積極的な姿勢で取り組めるということもありますが、経営学プログラムでは受講可能な授業の幅が広く、興味深いものが揃っているということも大きな要因になっています。組織や経営に関する授業はもちろん、ビジネス文書の効果的な書き方を学べる授業、生成AI の仕組みを学べる授業、投資のメリットデメリットを学べる授業等非常に幅広い選択肢が用意されており、業務への活用だけでなく、人生にも役立つ授業が取り揃えられています。
また、同級生からも大きな刺激を受けています。都立大ビジネススクールの特徴として、少人数制かつ年齢層の多様さがあげられると思います。在学生は20 代から50 代までと幅広く、授業で実施されるディスカッションでは、年代の違いによる視点や考え方の違いに刺激を受けることができます。授業内容や同級生とのディスカッションは共に、業務では得ることが難しいものであり、刺激的な学生生活を送ることができています。
――これから入学を検討している方へメッセージをお願いします。
ビジネススクールでの学びは、想像している以上に自分自身の人生に大きなプラスになりますので、少しでも興味があれば挑戦することをお勧めします。私自身、入学前にはいまさらビジネススクールに通っても意味がないのではないか、年齢的に学ぶことには限界があるのではないかと考えていました。しかしながら、入学後に学んだ内容を実務上で実践することで、想像以上の効果を実感できる場面が多々ありました。ビジネススクールで学ぶことができる理論は、経営現場の課題から発生したものが多いことを考えると当然のことなのかもしれませんが、自分自身で実践することで、その有用性をより実感できるのではないかと思います。
唯一後悔していることとしては、もっと若いうちに入学しておけばよかったということです。そのくらいビジネススクールでの学びは大きいと実感しています。ビジネス上で解決したい課題がある、学びたい理論がある等、何かしらの課題を持っている場合には挑戦することをお勧めします。