修了生の声

佐藤 貴志(ファイナンスプログラム・2024年度修了)

農林中央金庫 リスク統括部 金融技術班

 私はリスク管理部門で会計時価・リスク計測に関するモデル開発・管理業務に携わっています。実務の中ではデリバティブはリスク計測について高度な知識が要求されるため、それらの分野について基礎から体系的に学ぶ必要性を感じていました。また、債券運用の実務経験があったため、投資運用に関する学術研究にも興味を持っていました。本学のファイナンスプログラム(MF)では、これらの内容を体系的かつ限られた時間で効率的に学ぶことができると考え、入学を決めました。
 本プログラムの特徴は、専門的な内容を基礎から着実に学習できる点です。1年次は基礎科目から始まり、学生の人数が少ないため手厚い指導を受けることができます。実際に手を動かして課題に取り組む中で、教員や同級生とディスカッションする機会も多く、初学者でも知識・技術を習得できる内容となっています。2年次は修士論文の執筆が中心となりますが、発展的な科目も設けられており、興味関心に応じて専門性を高めることができます。
 修士論文の執筆にあたっては、学術研究と実務の違いに戸惑うこともありましたが、指導教員だけでなく複数の先生方や同級生から様々な視点のコメントをいただき、着実に進めることができました。短い期間で納得できる結果を示すことは簡単ではありませんが、恵まれた環境の中で試行錯誤を繰り返し、論文を完成させることができ、大きな達成感を得ることができました。
 一方で、仕事・家庭・学業に並行して取り組むことは入学時に想像していた以上に大変でした。特に、2年次の修士論文執筆では課題設定からその解決まで自分で考える必要があり、学業に割く時間が増えたため、限られた時間の中で職場や家庭での役割を果たすために効率的な時間の活用を心掛けました。苦しい時もありましたが、職場や家庭の協力に加え、先生方からの助言や同級生との交流が励みになりました。
 本プログラムでは、充実したカリキュラムにより知識・技術を習得できたことはもちろん、志の高い方々と励まし合いながら切磋琢磨できたことが大変貴重な経験になりました。今後のキャリアにとって大きな意義のある2年間を過ごすことができたと感じています。

澤村 夏野(ファイナンスプログラム・2024年度修了)

みずほ第一フィナンシャルテクノロジー

 私は学部では数学を学び、特に確率論における理論などが金融の世界でどのように応用されているのかに関心を持ち、学部から直接MFに進学しました。
 MFでは、リスク管理やデリバティブプライシング、コーポレートファイナンスといった基礎的な内容から、ESG投資や機械学習などの最新テーマまで幅広く学ぶことができます。講義を通じて、数学の理論が金融の現場でどう生かされるかを肌で感じると同時に、実務経験のある先生方から理論だけでは解決が難しい場面の話も伺えたのは、大変参考になりました。
 少人数制ならではの密度の高い指導も、このプログラムの大きな魅力だと感じました。研究では、3人の先生方から毎週多角的なアドバイスをいただき、自分では気づけなかった新たな視点や考え方を学ぶことができました。先行研究を踏まえて課題を設定し、試行錯誤を重ねて研究する中で、簡単に答えが出ない問題にも粘り強く取り組む思考の忍耐力が身についたと感じています。
 学部卒での進学を迷う方もいるかもしれませんが、私は多様なバックグラウンドを持つ方々と共に学ぶことで多くの刺激を受けることができました。社会人の方々との交流を通じて、知識だけでなく実務的な視点も得られ視野が大きく広がる経験になったと感じています。こうした経験は今後の学びや仕事において大きな財産になると思います。