概要
日時:2025年11月6日(木) 16:30-18:00
場所:3号館1階 130室(経済経営学部会議室)
講演者: 金輝星氏(東京都立大学)
タイトル:Essays on the Japanese Market
アブスト:本セミナーでは、日本の株式市場を対象とした三つの研究を紹介する。最初のテーマは、東京証券取引所の取引時間延長である。企業は「良いニュースを取引時間中に、悪いニュースを取引時間外に発表する」とされるが、取引時間が延長するとどうなるか?取引時間延長は世界的に議論されている制度改革であり、本研究は取引時間延長と情報開示に関する初の実証的エビデンスを提示する。次に取り上げるテーマは、近年注目を集める Market Intraday Momentum である。これは「取引開始後30分の市場リターンが終了間際30分の市場リターンと同じ方向に動く」という、奇妙で強力なアノマリーである。それではもし1.日銀の ETF 購入が株価を押し上げたら、2.取引時間延長によって新しい「終了間際30分」が生まれたら、この現象はどう変化するのか?本研究は日本市場からこのアノマリーの生成メカニズムに新しい理解を加える。最後のテーマは、計量経済学とファイナンスの接点である。日本市場のシステマティックリスクの特徴に応じて、従来のPesaran型CD統計量をパネルデータのロングメモリー特性に対応させたAutoregressive-Filtered CD統計量を応用し、システミックリスクをより正確に捉えた投資戦略を提示する。これらの内容は、内田交謹氏(早稲田大学)、大坪陽一氏(マンチェスター大学)、Wang ShinHuei氏(北京大学)、Wu JiaXuan氏(カリフォルニア大学)との共同研究に基づく。本セミナーを通じて日本市場を制度実験の場として捉える意義を共有し、さらなる知見の発展につなげていきたい。





