概要

日時:2012年11月29日(木) 16:30-18:00
場所:3号 館1階116室
講演者:大木良子氏(日本大学)
タイトル:固定料金制の参入阻止効果 ―JASRAC事件を題材に―

【Abstract】
2009年、JASRACによる固定料金を用いた著作権使 用料徴収によって放送分野における音楽著作権管理事業の 新規参入が妨げられているとして、その料金算定方法を改めるよう公正取引委員会がJASRACに 排除措置命令を出した。 そこで本稿では、この事件を取り上げ、固定料金制が持つ新規参入を阻止する効果について検討する。 楽曲を差別化財として考えたとき、固定料金制の下で参入が生じないメカニズムを考察した上で、 他の料金システムとの比較を行った。分析の結果、固定料金制だけがその原因ではなく、既存企業が既に多くの 楽曲の管理を行っていることも独占を生じやすくさせていることが分かる。さらに、固定料金制を禁止し単価制を強制した場合、 必ずしも参入が促進されるわけでなく、また経済厚生の改善も望めない可能性が示された。