授業紹介

本プログラムの授業をピックアップしてご紹介。
経営学プログラムに関してより深く知ることができます。

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広い学びと深い学びを両立させる
経営学プログラム(MBA)

経営学プログラム(MBA)は、経営戦略、マーケティング、経営組織・ヒューマンリソースマネジメント・意思決定、会計学、データサイエンスの5分野の多様な授業を受講できる一方で、特定の分野の教育研究プロジェクトに所属して修士論文・課題研究論文を作成することによって、広く、深い学びを両立させます。

授業ピックアップ
( 教授インタビュー )

主要な科目をいくつかピックアップ。担当教員へのインタビューを交えご紹介します。

ご覧になりたい授業、または教授を
選択ください

経営戦略演習

松田 千恵子 教授

経営戦略を理解し、
統合された経営の姿をデザインする

経営戦略というのは、分かっている気になっている人は沢山いる一方で、本当に分かっている人、理論と実務を自在に行き来できる人はとても少ない分野です。まずはしっかりと何が分かっていないのかを理解し、勉強しましょう。本演習は、そのうえで以下のことを目指しています。
ひとつには、「分析」(Analysis)ができるようになったうえで「統合」(Synthesis)まで考えられるようになってほしいということです。経営とは、様々な要素を如何に統合して最適解を見つけ出せるかという総合芸術のようなものです。様々な理論やフレームワークを当てはめて分析ができただけでは実際には役に立ちません。色々な視点を身に付け、一段高い視座で経営を考えてほしいと思っています。従って、この演習では事業戦略のみならず、全社戦略や財務戦略も扱いますし、様々な要素を統合した企業の将来の姿を考えることを重視します。そのために、経営トップを中心としたゲストとの対話なども本演習に織り込んでいます。
もうひとつは、今の時代に求められる経営戦略のありかたを考えてほしいということです。企業が自らの先行きを決めるためだけに経営戦略があるのではなく、企業を取り巻くステークホルダーと将来を共有するための重要な柱としても経営戦略を考える必要があります。コーポレートガバナンスやサステナビリティといった分野でも経営戦略が非常に重視されるのはその証左とも言えましょう。
本演習はグループワークを中心に進められます。出身や経験、世代も違う様々な人々とともに考えるというのは、ビジネススクールの醍醐味とも言えますし、近年ますます重要になってきている「協創」を身に付けるにも大いに役立つでしょう。ひとりよがりの結論ではなく、理論をベースにした積極的なディスカッションから得られる成果をぜひ楽しんでください。

マーケティング・
マネジメント

水越 康介 教授

問題意識をそのまま考えるのではなく、
一回自分から距離を置くのが大事

この授業は、大きくはマーケティングそのものを理解するということと、実際にマーケティングを業務にしている方々にとって、何か明日から新しいマーケティングができるなとか、こういうポイントが大事だなというのを感じていただくのが狙いです。アカデミックな理論が、実務のツールとしてのマーケティングと少なくとも同じレベルで、明日から使える、役立つところがあるんだと気付いて欲しいです。
授業では教科書1章分のマーケティングのテーマについて、学生が事例を紹介しつつ発表し、ディスカッションします。これに合わせ、毎週1本程度、事前や事後課題としてマーケティングの論文を読み、レポートを提出します。論文については一字一句説明したりはしませんが、議論の中で何人かが論文について触れてくるので、それに対して補足や疑問を解決しながら理論を紹介していきます。
受講生に身につけて欲しいこととしては、マーケティングの教科書的な知識だけでなく、論文が読めるようになるのが大事なのかなと思っています。論文を読んでもらって感想で聞くと、皆さん、何でこんなにまどろっこしい言い方や書き方をするのかと言われるのですが、論文をそのように書くのにはそれなりの理由があるので、むしろその授業を通じて、そのまどろっこしさには何の意味があるのか考えて欲しいです。そうすると、現場の話を分析する見方が一段深まります。
ビジネススクールの入学者は、ほとんどの場合、個別の具体的な問題意識を持っておられるのですが、問題意識をそのまま考えるのではなく、一回自分の問題からちょっと距離を置くのが大事です。理論や論文は、問題から距離を置く役割を果たすのだと思います。

経営組織

高尾 義明 教授

経験を理論で相対化し、組織を動かす新しいアイデアを出せるようになってほしい

組織に関する体系的な理論を学ぶことで、受講生が経験を通じて獲得してきた持論を学びほぐす機会を提供したいと思っています。MBAプログラムのほとんどの院生はビジネスパーソンなので、組織で働いてきた経験をもとに、組織というのはこういうものだとか、組織はどのように動くものだ、といった持論を持っています。もちろん、こうした持論を持つことは短期的には有効です。しかし、そうした持論のみに頼って組織に関わり、マネジメントすることを続けていると、どこかで限界に直面することになります。変化の激しい環境においては特にそうです。そこで、自分が直面している組織の現場から一歩離れ、理論的なレンズを用いて自らの組織を捉えてみることを通じて、受講生が自らの持論を相対化して捉えられるようになることを促します。
自らの経験知の相対化に用いることができる、さまざまな枠組みが経営組織論には含まれています。複数の理論枠組みをもとに自分自身の組織に関する経験を振り返ることをきっかけとして、受講生が組織をどのように動かすかについて新しいアイデアを出せるようになってほしいと思っています。そのために、理論を活用することができます。
私の授業では、受講生の皆さんそれぞれに組織に関する経験を積極的に提示してもらいますが、他の受講生の異なる経験も持論の相対化に役立っていると思います。授業運営としては、私と受講生の間、また、受講生同士でのインタラクティブなやりとりを重視し、受講生が疑問に思っていることや考えていることを言いやすい雰囲気づくりを心がけています。

ビジネス
イノベーション演習

高橋 勅徳 准教授

理論に基づいて現象を面白く説明できたら、ものすごくパワーになる

この授業では、ベンチャー企業、中小企業、大企業、NPO、NGOにおいてイノベーションがどのように起きるのかについて、ケーススタディと当事者の講演の双方から学んでいます。ベンチャービジネス、組織、戦略の理論というものを事例を通じて学ぶ一方で、当事者の講演を通じて、当事者がある意味直観的に、あるいは経験に基づいてやってることは、どこまで理論的に裏付けられるかを同時に学べるような構成を意識しています。
授業は2時限連続なのですが、前半がケーススタディで、ある会社の創業の歴史から始めて、なぜ今こういうビジネスになってきたかということを、ベンチャービジネス、組織、戦略の理論で読み解きます。基本的に全員に発言を求めるのですが、受講生が理論に基づいてケースを分析できたと思っていても表面的にしか読めてない場合がほとんどです。そこを議論で掘り返してその時間に取り上げたい理論的なテーマにつなげていきます。授業の後半は、その会社の方が講師として登場し、講演とディスカッションになります。学生にとっても全然知らない業界とか知らない会社の話は新鮮なようで、それはもう真剣に聞いてくれます。質疑応答では大体時間オーバーになるまで手が挙がります。講演の前にケースで十分議論しているせいか、他のビジネススクールで講演の経験がある講師の方は、ここのビジネススクールの学生が一番レベルが高いと言われます。
受講生には、最後に、授業で取りあげた会社ではないイノベーションの事例を、授業を通じて学んだ理論に基づいて分析してプレゼンテーションしてもらいます。自己流の理論であったり、マスコミ的というか、一般的によく言われる通説的な理論ではない、アカデミックな理論に基づいて論理的に分析できるかどうかをまず評価します。その上で、「データに基づいて斜め上の結果を出してください」っていうことをよく言っています。普通にみんな知ってることを理論で補強してもはっきり言って何の役にも立たない。だけれども、理論に基づいて現象を面白く説明できたら、それはものすごくパワーになります。