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宗教から多様性を学ぶ

皆さん、こんにちは。宮本ゼミ3期生の槇です。

日本には無宗教を自認する人が多いですが、私たちの日常生活は宗教と深く結びついています。初詣や結婚式、葬式をはじめ、自覚なしに「一貫性のない宗教的行為」を行う日本人は、外国人には理解されにくいと言われています。

日本にはたくさんの新宗教が広まっています。

高度経済成長期に、郊外から都会へ働きに来た人々の「心の拠り所」として広まった新宗教ですが、なかには、根拠のない教えで人々を陥れる「カルト宗教」も含まれます。日本人の多くは宗教の予備知識を持たないため、教義のおかしさを判断できない無防備な状態に置かれているのです。

日本人の「宗教リテラシー」が低い原因としては以下があげられます。
・主要宗教が生まれた中東地域から遠いという「地理的要因」
・創始者や聖典を持たない日本固有の多神教「神道」の存在
・明治時代の「国家神道」と、宗教が排除された戦後教育

私たちは宗教リテラシーを身につけるべきなのでしょうか?私は身につけるべきだと考えます。なぜでしょうか?

まず、悪質なカルト宗教から自分を守るためです。人との関りが薄れたコロナ渦では、多くの大学生がSNSを通じて新宗教から勧誘を受けたと言います。一種の免疫システムとして、宗教リテラシーを身につけるべきです。

また、グローバル社会で生きていくためにも宗教リテラシーは必要です。東南アジアやアメリカをはじめ、宗教性に富んだ国の人々は、彼らにあまり馴染みのない神道や禅といった日本の宗教観・文化について、深い興味関心を持っています。話題に上がった際には、日本人として自信を持って答えられるべきです。また彼らは、我々が彼らの信じるものについて理解している前提で接してきます。世界に広がる宗教一つひとつの基礎知識を持ち、その理解を深めることが大切です。

宗教は、時に人との関係の間に「壁」として立ちはだかりますが、我々が宗教について正しい理解を深めることで、人々との信頼関係構築の「橋」として機能します。

グローバル化がどれだけ進展しようと、宗教という名の社会を支える価値観は簡単に変わりません。つまり、宗教を学ぶことは、グローバル化した社会の中で、人々が持つ多様な価値観を理解することと同じなのです。

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