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表現の自由と匿名性

こんにちは、宮本ゼミ2期生の川口龍成です。

宮本ゼミでは、毎週各自が関心を持ったテーマについて発表し、それについて議論することで、社会問題に対する知見を深めています。

今回、私は「表現の自由と匿名性」について発表しました。

現代はスマホの時代であり、多くのSNSアプリが登場、それに伴って誹謗中傷などの人権侵犯事件が年々増えています。

こうした中、日本では一部の地方自治体で「ヘイトスピーチ禁止条例」が制定されるなど、人権侵犯に対する言動の取り締まりが強化されてきました。

総務省も去年から、SNS上での誹謗中傷対策を打ち出し、被害者がSNSの運営事業者に対して投稿の削除請求を求めることができるようになりました。また、執拗に中傷してくる者がいる場合、総務省が制定したプロバイダ責任制限法の4条の定める発信情報開示手続によれば、「権利が侵害されたことが明らかであるとき」にはSNS事業者やインターネット接続プロバイダは、自社の保有している発信者情報を被害者に開示する義務があります。

ただし、この対策にはいくつかの問題点が挙げられます。

まず、開示手続きには毎回損害賠償請求を訴訟する必要があり、裁判を通してでしか発信者情報を得る手段がありません。また「権利が侵害されたことが明らか」という表現が曖昧であり、法による判断がしにくいことも挙げられます。さらに、海外事業者が提供するSNSに対して請求を行うことが複雑であることも問題です。

そこで、総務省はSNS事業者に対して発信者の電話番号やログイン時情報の開示を求めることができるようにし、発信者特定の負担を軽減しようとしています。また、新たな裁判手続きを創設することで、複数の裁判手続きを経ることなく、発信者の情報開示を可能にする政策を検討しています。

ここで我々が考えなくてはいけない問題があります。それは、誹謗中傷と批判の線引きについてです。

発信者情報の開示を促進することは、匿名発言の自由の後退に繋がります。また、批判と悪質言論の線引きを誤れば、「批判の自由」つまり「言論の自由」を損ねてしまいます。つまり、被害者保護を考慮することと、表現の自由とのバランスが鍵になると思われます。皆さんもこの問題について一度考えてみてはいかがでしょうか。

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