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第45回研究会
開催日:
2025年10月31日(金)16:00~17:00
会場:
丸の内永楽ビルディング18階 東京都立大学 丸の内サテライトキャンパス
〒100-0005 東京都千代田区丸の内1-4-1 (Zoomでも同時配信します)
講師:
後藤 晋吾 氏 (Professor of Finance, The University of Rhode Island)
タイトル:
ノイズをもってノイズを制す:逆説的で新奇な株式リターン予測アプローチ
概要Overview
本セミナーでは、株式リターンのクロスセクション予測において、あえて「ランダムノイズを加える」ことで逆説的に予測精度を高めるという新しい手法を紹介します。高次元の予測問題では従来、Ridge、Lasso、PLS などの正則化手法が用いられてきましたが、Out-of-Sample の R² が負となることも多く、実務的に有効な予測は困難でした。そこで私たちは、ノイズを活用した2つのアプローチ――ノイズ注入法(injection)とノイズ拡張法(augmentation)――を提案し、係数推定の安定化と予測精度の改善を実証します。
これらの方法は、機械学習分野で注目される「良性の過適合(Benign Overfitting)」現象と深く関係しており、さらに予測においては疎(Sparse)モデルよりも密(Dense)モデルを支持する新たな潮流にも呼応します。
本研究の主題は、「モデルに戦略的にノイズを加えることで暗黙の正則化が働き、Out-of-Sample予測精度が向上する」という、一見パラドックスのようなメカニズムとその実証的裏付けです。
関連研究として、Liao et al.(2024)のワーキングペーパー Does Noise Hurt Economic Forecasts? は経済予測におけるノイズ拡張法の有効性を示していますが、その理論的説明は平易ではありません。私たちはこの着想を、より複雑でノイジーな株式リターン予測に応用し、実証的に効果を確認しました。さらに、直感的でシンプルなノイズ注入法を提案し、両手法の対応関係を整理しつつ、ノイズの有効性とその含意をできるだけ平易に解説します。
こうした検討を通じて、ノイズが単なる誤差ではなく、予測モデルの構造を改善する「設計要素」として機能し得ることを示します。従来の常識に挑戦するこのアプローチが、高次元金融予測における新たな可能性を拓くことを期待しています。10月31日には、会場およびオンラインで皆様と活発に議論できることを楽しみにしております。
講師ご略歴Profile for the Speaker
後藤は大阪生まれ、広島育ち、東大卒、住友銀行勤務を経て、UCLAのアンダーソン経営大学院(The Anderson School of Management) でMBAとPh.D.を取得し、米国で就職しました。米国暮らしはすでに30年になりますが、今も英語の発音には苦労が尽きません。これまでにUniversity of South Carolina (Moore School of Business) で教鞭をとり、San Francisco のBarclays Global Investors(現ブラックロック) で株式のクオンツ・アクティブ運用モデル開発に従事した後、現在は米国東部ロードアイランド州にあるUniversity of Rhode Island (URI)の経営学部・大学院でファイナンス教授を務めています。昨年までは同大学院でDirector of Doctoral Programs and Researchを務めておりました。研究関心は株式ポートフォリオ運用および企業年金に関するテーマで、これまでReview of Financial Studies (RFS)、Journal of Financial and Quantitative Analysis (JFQA)、Journal of Banking & Finance (JBF)、Journal of Corporate Finance (JCF)、Journal of Business Finance & Accounting (JBFA)、Financial Analysts Journal (FAJ) などに論文に発表しています。実務家の方々との交流や共同研究から多くの刺激を受けており、今回のトピックもその一例です。また、URIでファイナンスを教えるほか、日本、中国、ベラルーシ、ハンガリーなどの大学で短期講義を行ったり、ファイザー社の企業内MBAプログラムでファイナンスや統計学を教えてきました。現在は大学の近くの1829年築の古い家に妻と暮らしています。ロードアイランド州は黒船のペリー提督の出身地で、米国最小の州ですが、Ocean State と呼ばれ、海岸線に恵まれ夏は観光客で賑わいます。ボストンから電車で1時間、NYCからは3時間強です。米国東海岸にお越しの差には、ぜひお声がけください。
お申込み方法How to register
参加ご希望の方は10/29(水)までに事前登録をお願いします。
下記のいずれかの方法で「お名前・所属機関・電子メールアドレス・電子メールアドレス丸の内サテライトキャンパスにて参加される可能性の有無」をご連絡ください。
※参加費は無料です。
WEBからの登録
本ページにあります「REGISTER HERE」ボタンをクリックいただき、お申し込みフォームよりご登録ください。
電子メールでの登録
finance@tmu.ac.jpまで「お名前・所属機関・電子メールアドレス・電子メールアドレス丸の内サテライトキャンパスにて参加される可能性の有無」をご連絡ください。
開催日当日の午前中にご参加のために必要なURLを記載したメールをお送りします。
丸の内サテライトキャンパスにて参加の場合には、定員になり次第締め切らせて頂く場合がございます。
ご参加情報は、東京都立大学金融工学研究センター、講演者により共有され、当セミナーの円滑な運営のために利用します。
金融工学研究センター概要
Research Center for Quantitative Finance

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