丸の内QFセミナー

Marunouchi QFseminar

第55回研究会

開催日:

2020年5月13日 (水) 18:00-19:30

会場:

Webinar形式(Zoom)

報告者:

湯浅 智意氏
(立命館大学理工学部 助教)

タイトル:

Euler–Maruyama method by orthonormal random variables and unbiased simulation method by the parametrix method

概要Abstract

本講演では確率微分方程式(SDE)の解の汎関数に対する数値計算手法を2通り紹介する.SDEの解Xは株価などの様々な自然現象を数学的に記述する際に用いられ,その汎関数E[f(X_T)]は金融派生商品の価格付けなどに用いられる.SDEの解やその汎関数は係数が簡単なブラック–ショールズモデルやそのオプション価格となるブラック–ショールズ方程式の解などを除いて,明示的に書くことは困難である.また,SDEの解やその汎関数のシミュレーションを行うには解の分布を調べる必要があるが,これもまた困難である.そこで,オイラー丸山法(EM法)などを用いて,SDEの解の近似を行い,モンテカルロ法(MC法)などを用いて,その汎関数(積 分)の近似シミュレーションを行うことでこの問題に対処することが可能である.

1.直交基底を用いたEM法(Akahori-Kinuya-Sawai-Yuasa [1]):EM法はブラウン運動の独立増分性とその差分項が正規分布に従うことを用いた弱い誤差のオーダーが1となる階差的な数値計算手法である.特に,EM法の差分項にブラウン運動を用いることが一般的ではあるが,必ずしもブラウン運動である必要はなく,差分項の次元に対する独立性も必ずしも必要ではない(cf.[4]).
そこで,差分項に直交基底(Haar系やWalsh系)を用いたEM法を紹介する.これは差分項の次元に対する独立性を直交基底の直交性に置き換えることで,乱数生成を抑え,“高次元SDEに対してefficiencyが良くなる数値計算手法”となる.特に,差分項がブラウン運動のときと同様,弱い誤差のオーダーは1である.

2.弱い誤差が生じない数値計算手法(Andersson-Kohatsu-Yuasa [2], Yuasa [5]):弱い誤差のオーダーが1となるEM法に対して,弱い誤差が生じない数値計算手法をUnbiased simulation method(US法)と呼ぶ.理論的には楕円型偏微分方程式の古典的な解の構成方法であるParametrix method(cf.[3])などを用いることで,US法が導出される.しかし,US法には弱い誤差がない分,分散が大きい問題とnegativity 問題がある.
そこで,分散が大きい問題に対してはRomberg extrapolation methodの適用を行い,negativity問題に対してはPoisson kernel methodの適用を行なったUS法を紹介する.

References
[1] J. Akahori, M. Kinuya, T. Sawai, and T. Yuasa. An efficient weak Euler-Maruyama type approximation scheme of very high dimensional SDEs by orthogonal random variables. arXiv:2001.05640.

[2] P. Andersson, A. Kohatsu-Higa, and T. Yuasa. Second order probabilistic parametrix method for unbiased simulation of stochastic differential equations. to appear in Stochastic Process. Appl.

[3] A. Friedman. Partial differential equations of parabolic type. Prentice-Hall, (1964).

[4] P. E. Kloeden and E. Platen, Numerical Solutions of Stochastic Differential Equations, Springer-Verlag,Berlin, (1992).

[5] T. Yuasa. Unbiased simulation method with the Poisson kernel method for stochastic differential equations
with reflection. Jpn. J. Ind. Appl. Math., 37(1), 263-282, (2020).

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