経営学研究科について

専攻長挨拶

激動の時代に
高度な専門知識と知の力を

東京都立大学大学院 経営学研究科
経営学専攻長
渡辺 隆裕

渡辺 隆裕

新型コロナウィルスによる感染症の問題やウクライナ危機などで、世界は大きく変わり、さらに日本を取り巻く国際情勢も大きな転換期に来ています。このような激流と環境変化の中で「生涯教育」「リカレント教育」「学び直し」「リスキリング」など、社会人に対するさまざまな学びの必要性が叫ばれています。

しかし、多くの情報や知識がインターネットから入手でき、さまざまな人々の疑問に答えてくれるAIプログラムが日々進化する中で、表層的な学びでは立ち行かないと考える方も多いのではないでしょうか。私達に必要なことは単なる教養や情報ではなく、対象を絞った高度な専門知識と問題を解決する思考力や分析力、それを裏付ける論理性のような「知の力」です。

東京都立大学大学院経営学研究科経営学専攻では、博士前期課程に経営学プログラム(Master of Business Administration)、ファイナンスプログラム(Master of Finance)、経済学プログラム(Master of Economics)の3プログラムを開設しています。そこでは経営学・経済学・ファイナンスの最先端の知識を体系的に学び、誰にも負けない高度な専門性と思考力を身に付けて頂くことを目標としています。

入学定員50名に対し、それとほぼ同数の教授と准教授(特任教授を含む)による徹底した少人数指導が私達の専攻の大きな特長です。すべてのプログラムで、修士論文・課題研究論文などの論文を執筆することが修了要件となっており、その制作過程の中で、先に述べた「知の力」を身に付けて頂くことを目指しています。

また、本専攻は博士後期課程も有しており、経営学・経済学・ファイナンス分野を対象に、さらに高度な研究を行うことも可能です。日本人の博士取得率が低く、大学研究者以外のビジネスパーソンや官公庁で働く方々の博士号取得の必要性が叫ばれる中で、本専攻では国際雑誌に高水準の研究成果を発表している教授陣の充実した指導を受けて研究を行い、成果を学術雑誌に発表して、博士論文の完成と博士号の取得を目指しています。

博士前期・後期課程とも、社会人の方々が学びやすいように主に丸の内サテライトキャンパスにおいて、平日夜間と土曜日に授業や研究指導が開講されます。これまでも多くの方々が、本専攻を巣立って行かれましたが、修了生の皆さんからは「業務を持ちながらの勉強と研究は、大変厳しいものではあったが、それらの経験を通じて大きく成長し、自分一人の力では到達できなかった場所へ到達することができた。満足できた。感謝しています」といった声を頂き、私たちは自信を深めています。

熱意のある皆さんと、一緒に本専攻で学べることを心待ちにしています。

経営学研究科のコンセプト

首都東京には、我が国を支える主要な大小の企業が集積し、新しい企業を創業していく潜在力があります。それを現実の活力に転換するためには、マネジメントのあり方を探求する第一線の研究者と、組織を動かす高度な能力を有する経営管理者・起業家の養成が欠かせません。

また、経済のグローバル化やインターネットの発達、環境への配慮などにより経済活動の仕組みも日々変化する中で、ビッグデータの蓄積とともに高度な経済学やファイナンスの専門的知識を用いた経済分析や資産運用・資金調達・金融リスク管理が求められています。

経営学研究科では、これらの社会的要請に応えるために高度な研究水準を維持し、その成果を博士前期課程および博士後期課程において学術的もしくは実践的な教育に反映させていきます。特に、博士前期課程では経営学・経済学・ファイナンスの各分野に教育プログラムを設置します。

専攻紹介

経営学専攻 経営学プログラム(MBA, Master of Business Administration)

「経営学プログラム(MBA)」では、東京都の産業育成、経済の活性化に貢献することによって、国家レベルの産業競争力を強化・発展させていく人材を養成します。すなわち、戦略的な思考能力と高度な経営管理に関する知識を有し国際的に活躍できる高度専門職業人と、経営学の諸理論を修得し新しい経営学を切り開いていける研究者を養成します。また、いわゆる文系の人材だけでなく、大学の学部で経営学・経済学を学ばなかった理工学系出身の社会人学生を積極的に受け入れ、そのキャリア開発と新産業・新事業の育成に積極的にかかわっています。

授業は、平成28年度に新設された丸の内サテライトキャンパスで平日の夜間と土曜日に開講されます。

経営学専攻 経済学プログラム(MEc, Master of Economics)

「経済学プログラム(MEc)」では、経済学に関する専門的な知識を有し、学術的あるいは実務的な課題について幅広い視野を持って研究を遂行できる能力を持った研究者および実務家を養成します。官公庁・シンクタンク・企業等において、経済活動の分析、経済政策の立案、企業の効率的な活動の提言を行うための知識・手法および課題への取り組み方を修得する他、経済学の諸理論を応用し、経済システムや経済社会の事象をグローバルな視点で歴史的な経緯も含めて資料を分析し、高度な歴史的知見の提供や問題解決のための政策提言を行う能力を身につけさせることを目標とします。

コア科目と呼ばれる、マクロ経済学・ミクロ経済学・計量経済学の高度な基幹理論の学修には数学・統計学が不可欠ですので、大学の学部で経営学・経済学を学ばなかった理工学系出身であっても経済学に関心を抱く社会人学生を積極的に受け入れます。

授業は、平成28年度に新設された丸の内サテライトキャンパスで平日の夜間と土曜日に開講されます。

経営学専攻 ファイナンスプログラム(MF, Master of Finance)

「ファイナンスプログラム(MF)」では,世界的な金融センターで活躍できるファンド・マネジャー、クォンツ・アナリスト、金融リスク管理者、トレーダー、金融商品開発者、金融政策立案者、財務アナリスト,財務コンサルタント,および一般事業会社の財務責任者などの高度金融専門人材を養成します。高度金融専門人材とは,①金融機関や官公庁の中で,自らのアイデアにより、表現力のある数理モデルや投資戦略の構築、適切なリスク管理技術の開発、金融商品の開発やその定量的な評価・分析、バックテストなどを行える人材,あるいは②一般事業会社の財務管理に関連する部署や経営層およびプロフェッショナルファームなどで,市場の期待と事業リスクを定量的に評価・分析できる知識とスキルを持ち,適切な財務戦略や経営戦略を立案・実行し,企業価値の向上に貢献できる人材であると考えています。

金融機関等での実務経験のある実務家、金融機関への就職を希望する四年制大学卒業生、一般事業会社で働く実務家やM&A,グループ経営,事業リスクマネジメントなどに携わるCFOなどのキャリアを志望する実務家を対象に、2016年度に新設された丸の内サテライトキャンパスで、主に平日の夜間と土曜日に授業を行います。